20.幸福のかたち

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自分には、幸せなんてないのかもしれない。 そんな風に思って退職し、新たに転職した先で、やりがいと幸せと、守りたいものを見つけた。 彼女は、辻堂の甘やかしを嬉しそうに受け取ってくれて、そして、感謝してくれる。 それだけではなくて、『大好き、絢人さん!』と言う甘い声も、たくさんの人を魅了するその姿も、全部、辻堂にくれているのだ。 私は幸せになんてきっとなれない。 紗夜は、自分の生い立ちからそう思っていた。 けれど、何度も何度も、自分を守ってくれたその人は、今も紗夜を守り、その身体だけではなくて、たくさんのものを紗夜に与えてくれている。 返せているといいな、と思いながら、『俺に甘えて?紗夜を甘やかすのが好きなんだ。』と言う言葉に完全に甘えてしまっている。 それが、彼も幸せそうなので。 この2人が後日、結婚発表し、純愛を育んだ!と世間に祝福されるのは、もう少し後の話だ。 映画祭で、助演女優賞を受賞した、門倉紗夜が 『この受賞は私を支えてくれた全ての人に捧げたい。特に家族には、本当に感謝しています。』 とスピーチして、 何故か警備員の数人が涙ぐんだことも、 それも、もっともっと、先の話なのである。    ✽:.。..。.:+・゚END・✽:.。..。.:+・゚・ b3f0805c-b69f-43d4-ae5b-912cbfcdec9e
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