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自分には、幸せなんてないのかもしれない。
そんな風に思って退職し、新たに転職した先で、やりがいと幸せと、守りたいものを見つけた。
彼女は、辻堂の甘やかしを嬉しそうに受け取ってくれて、そして、感謝してくれる。
それだけではなくて、『大好き、絢人さん!』と言う甘い声も、たくさんの人を魅了するその姿も、全部、辻堂にくれているのだ。
私は幸せになんてきっとなれない。
紗夜は、自分の生い立ちからそう思っていた。
けれど、何度も何度も、自分を守ってくれたその人は、今も紗夜を守り、その身体だけではなくて、たくさんのものを紗夜に与えてくれている。
返せているといいな、と思いながら、『俺に甘えて?紗夜を甘やかすのが好きなんだ。』と言う言葉に完全に甘えてしまっている。
それが、彼も幸せそうなので。
この2人が後日、結婚発表し、純愛を育んだ!と世間に祝福されるのは、もう少し後の話だ。
映画祭で、助演女優賞を受賞した、門倉紗夜が
『この受賞は私を支えてくれた全ての人に捧げたい。特に家族には、本当に感謝しています。』
とスピーチして、
何故か警備員の数人が涙ぐんだことも、
それも、もっともっと、先の話なのである。
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