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「あら、お邪魔…。」
「大丈夫です。」
辻堂は眼鏡を指で抑えて、即答で返す。
どう見ても、辻堂が襲われている風なのが、凛にはおかしくて仕方ない。
まあ、払いのけたりは出来ないものねえ…。
ボディーガードの面々は武道にも優れているとは聞いているけれど、好きな子には形無しのようだ。
そんなところも微笑ましい。
「行きましょうか。紗夜ちゃん。現場で、城戸さんがお待ちだから。」
「はい。」
そっと、辻堂から離れて、紗夜はいつものようにきゅっと、服の袖を掴む。
「一緒に行きます。」
辻堂は紗夜に微笑みかけた。
ここは避けては通れない。
「そうね。藤崎部長も一緒に行かれるそうだから。」
藤崎と辻堂、紗夜と3人で現場に向かった。
到着すると、城戸が駆け寄ってくる。
「紗夜ちゃん!」
紗夜はぺこりと頭を下げた。
「城戸さん、心配かけてごめんなさい。」
「本当だよ!監督は大丈夫しか言わないし紗夜ちゃんはいないし、携帯は控え室で鳴ってるし、本当に…話は控え室で聞くから。」
スタジオの中にある控え室に4人で入る。
「で、どういうことかな?なぜ、彼らに会いに行ったの?」
「楽しかったんです。一緒にいた時。」
「彼らにとっては、仕事だよ。」
厳しい声で城戸にそう言われ紗夜は俯く。
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