14.伝わる気持ち

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「それは…分かってます…。」 「城戸さん、犯人が捕まった時点で、契約については完了している。ご存知ですよね。それでも会いに来てくださって、僕らは嬉しかったですよ。」 見かねた藤崎が、そう口を挟んだ。 「藤崎さん、紗夜ちゃんは現場ごとで人が変わることに慣れています。 けれど、そんな風に寂しいなんて言ったことはほとんどありません。紗夜ちゃん、それはどうして?」 「現場とは違くて…、本当に素の私を見てくれたから…でしょうか。」 「そう…か…。紗夜ちゃん、責めているわけではないんだよ。どうして言ってくれなかったのかな?」 「城戸さんには怒られてしまうかも知れないって思ったんです。」 「どうして?」 「寂しかったのは本当なんです。皆さんに会いたかったのも。けど、辻堂さんに…会いたかったんです。」 城戸が辻堂を見た。 「なぜでしょうか?」 「お互いに惹かれていたからです。」 それには辻堂が答えた。 「何もしていないとおっしゃっていましたよね。」 今度は城戸の真剣な目が辻堂に向いていた。 「何もしていません。それは本当です。…いえ…違う…、何もしていないのは物理的なことだけです。多分、気持ちは通じ合ったはずです。」 もっと、そばにいたい。 もっと、知りたい。 もっと、一緒にいたい。 「何もしないと言ったのに…。」 ふう、と城戸はため息をつく。 「それで紗夜ちゃんはどうしたいの?」 「辻堂さんが好きです。この人のそばにいたいです。お付き合いもしてみたい。」 「辻堂さんは?」 「僕は紗夜さんを守ります。手放さずに。」
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