14.伝わる気持ち

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「離れて距離をとって見守るという選択はないんだね。」 「そうですね。今はそんな気はないですし…彼女を守る覚悟もあります。」 「そうか…。」 城戸は大きく息をついて、少し笑った。 「紗夜ちゃん、僕はちょっとだけ嬉しい。」 「え?」 「君は何かに執着することがなかったから。欲しいって自分から言うことのない子だったから、大丈夫かなって思ってた。今までは本当に欲しいものはなかったのかな?」 「欲しくても…諦めたりしていました。」 「うん。君はとても聞き分けのいい子だったね。じゃあ、彼のことは諦めないの?」 「諦めたくないんです。こんなに大好きって思えることはないから。」 「そうか…、だね…。紗夜ちゃんが服から手を離さないのを見て、なんでかなあって考えていたんだ。すごく、大好きな人だったからなんだね。」 紗夜は辻堂を見て、ふわっと赤くなり頷いた。 「もう、その顔で充分。辻堂さんも大人なのだし、そのあなたが覚悟を決めたとおっしゃる。おそらく、充分に意味はご理解された上で。正直に言います。僕は歓迎しています。」 は?! その場のみんなの空気が変わる。 戸惑いのそれに。 城戸にはここまで言われるのだから、反対なのだろうと思っていた。 なのに、歓迎?? 「え…と、歓迎とは…?」 おそらくは説得しようと思っていた藤崎は、肩透かしである。
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