14.伝わる気持ち

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「はい…。」 こんなことになるとは思わなかった。 想いが通じて、周りに喜んでもらえたことも、応援してもらえることも、得難く幸せな事だ。 「絢人さん!」 そして、恋人の笑顔も。 「はい。」 周りに人がいることなんて関係ないように、紗夜はぎゅうっと辻堂に抱きついた。 「幸せです。」 「そうですね。こうまでしてもらったのだから、もっと幸せになりましょうね。」 辻堂は、紗夜の頭を撫でた。 「はいっ!」 「お仕事行けますか?」 「頑張りますっ!」 「じゃあ、紗夜ちゃん、準備しましょう。」 「はい。行ってきます。」 「紗夜…、頑張ってくださいね。」 「はい…。」 城戸も嬉しそうだし、紗夜も元気に現場に向かった。 それを藤崎と、辻堂が見送る。 「辻堂ってさあ…、意外と情熱的…?」 「そんなことないと思いますけど。」 人前でもあれくらい甘えさせるくらいの方がいいのか…とかなんとか言っていた藤崎のつぶやきは、辻堂には聞こえていなかったようで…。 でも、聞こえていたら、こう言ったに違いないのだ。 ──それは、彼女だから、特別なんです、と。
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