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「はい…。」
こんなことになるとは思わなかった。
想いが通じて、周りに喜んでもらえたことも、応援してもらえることも、得難く幸せな事だ。
「絢人さん!」
そして、恋人の笑顔も。
「はい。」
周りに人がいることなんて関係ないように、紗夜はぎゅうっと辻堂に抱きついた。
「幸せです。」
「そうですね。こうまでしてもらったのだから、もっと幸せになりましょうね。」
辻堂は、紗夜の頭を撫でた。
「はいっ!」
「お仕事行けますか?」
「頑張りますっ!」
「じゃあ、紗夜ちゃん、準備しましょう。」
「はい。行ってきます。」
「紗夜…、頑張ってくださいね。」
「はい…。」
城戸も嬉しそうだし、紗夜も元気に現場に向かった。
それを藤崎と、辻堂が見送る。
「辻堂ってさあ…、意外と情熱的…?」
「そんなことないと思いますけど。」
人前でもあれくらい甘えさせるくらいの方がいいのか…とかなんとか言っていた藤崎のつぶやきは、辻堂には聞こえていなかったようで…。
でも、聞こえていたら、こう言ったに違いないのだ。
──それは、彼女だから、特別なんです、と。
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