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2人で少しうろついて、感じの良さそうなショットバーがあったので、そこに入った。
黒いスマートなデザインのドア。
中はシンプルで、落ち着いたインテリアが目に入る。
アンダーなライティングと、静かな音楽。
いらっしゃいませ、と感じよく笑顔を向けてきたバーテンダーも良さげで藤崎が
「良さそうな店だな。」
と嬉しそうになる。
「チーフ、お酒、いいんですか?」
「まあ、飲み過ぎなければいいだろ。」
どうぞ、とバーテンダーに手のひらを向けられた席は、カウンターの端だった。
「端でもいいですか?」
「もちろん。」
藤崎が笑顔を向ける。
2人ともかっちりしたスーツ。
藤崎の顔立ちの整っていることは周知の事実で辻堂は自分ではあまり分かっていないけれど、こちらも顔立ちは整っている。
要するに雰囲気のちがうイケメン2人が、揃って入ってきた訳だ。
「お二人とも、初めてですよね?」
バーテンダーに聞かれて藤崎が頷く。
「ええ。いいお店ですね。」
「そう言って頂けると…。何になさいますか?」
「辻堂、どうする?」
メニューを片手に藤崎が尋ねた。
それを辻堂が覗き込む。
「ゆっくり飲みたいですね。ロックで飲めるものがいいかな。」
「焼酎、ウイスキー、他にもご用意はありますが…。」
「俺はジンバックで。」
さっさと決めた藤崎に、メニューをじっくり見ていた辻堂が指を差す。
「ああ、珍しいウイスキーがありますね。」
「おススメですよ。」
バーテンダーは嬉しそうに笑った。
「では、それを、ロックで。」
小さな店ではあったけれど雰囲気はとても良くて、2人は気に入ってしまった。
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