15.初めてのあれそれをどうするか問題

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「ふらっと入ったけど正解だったな。」 「空いていて良かったですね。」 そこへバーテンダーが飲み物を置く。 「ちょうど、空いたところだったんですよ。」 「へえ、運が良かった。」 「どうぞ、ご贔屓に。」 綺麗な顔のバーテンダーはにこりと笑う。 「今度は仲間も連れてきますよ。」 藤崎と2人で飲みに行ったことはなかったけれど、こんな粋な対応もできるんだと思うと辻堂は感心してしまう。 今まで、こんな上司はいなかった。 「チーフって…。」 「ん?」 「カッコいいですよね。」 「はっ?!お前、まだ酔ってないよな?」 「顔は整っているし背も高くて英語はペラペラだし、しかも店選びもお店の人とのやり取りもスマート…って。さぞかし、モテるんでしょうね。」 軽くグラスを合わせて、口元に持っていきかけていた藤崎は、危うく飲み物を吹き出すところだった。 「…っ?!何を言いだすんだ、お前は。」 「紗夜は…誰とも付き合ったことがないそうなんです。」 「ああ…。」 「初めて…ってことですよね。僕…相手が初めてって経験ないんですけど…。チーフ…ありそうだな…。」 背中を汗が伝う藤崎だ。 「だ…誰にでも初めてはあるからな、うん。」 辻堂!相手が初めてって経験がない、ってどういうことなんだ?! 一気に喉がカラカラになった、藤崎がグラスを煽る。 「すいません!お代わりくださいっ!同じので。」 「チーフ、ペース早いですね。」 「いや、なんか喉乾いて…。」
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