消えた樹生

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樹生が居なくなればいい・・・・・・・・・ 子供の頃から、ずっとそう思ってきた。 樹生がいなくなれば、自分は幸せになれると信じていた。 だけど、本当に樹生が居なくなってしまってから、僕の世界は、一気に、色あせたものに変わってしまったのだ。 どうして? 樹生が姿を消してから、1年が過ぎた。 僕の生活も、一変した。 まずは、仕事をする気が、全く失せてしまったのだ。 アメリカの研究所に行くことも、誰も発見できなかった素晴らしいものを発見する夢も消えた。 仕事に身が入らなくなった僕は、気がつくと、資料室へ配置転換されていた。 本来なら、リストラされてもおかしくなかったのだけれど、樹生の事件で、社内の同情が僕に集まり、そのおかげで、首が繋がったのだ。 惰性で出勤し、制服に着替え、資料室に保管されている記録媒体の整理をする日々・・・ 友達とも音信が途絶え、交流も無くなった。 笑ったり、はしゃいだりする事も無くなった。 当然、こんな僕に、声をかけてくる女子社員も居ない。 樹生が行方不明になってすぐ、祖父母も、相次いで他界してしまった。 こんな僕の姿を見なくてすんで、幸せだったかもしれない。 こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃ・・・・・・・・・・・・・
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