2333人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
ジャスティンも無意識に木の実をきつく抱きしめた。
「別に一週間って言わずに、もっと居ていいんだよ」
こんな事を言う俺はやっぱりおかしい。
でも、女の子ってこんなに柔らかかったっけ?
香水じゃない何だか優しい花の香りがするけど、すごくいい匂い…
「ううん、一週間でも長すぎるくらい」
木の実はハッとした顔をしてそう言うと、ジャスティンから体を離した。
「ごめんなんさい、つい、勢いで抱きついちゃって…」
木の実は急に恥ずかしくなり、首元が赤くなっているのが分かった。
その場しのぎに窓際まで行き、手で団扇を作り首元をパタパタと仰ぐ。
「私は、矢代木の実23歳。
あの、実は、一週間前に職と家を失いました。
事情は聞かないで下さい。
でも、昨日、新しい仕事につく事ができました。
ジャスティンが働いているビルの前の花屋さんです」
「もしかして、モナンジュ?」
「はい、そうです。
知ってるんですか?」
ジャスティンは、一年前の凪と舞衣の一連の出来事を思い返していた。
「あの花屋さんには迷惑をかけたんだ。
なんせ10万円分のかすみ草だけの花束を注文したから」
最初のコメントを投稿しよう!