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木の実は久しぶりにゆっくり寝た気がした。
俊樹と再会してからというもの、あまり寝ていなかったから。
俊樹が木の実の前に現れて、木の実の人生の全てが変わった。
俊樹がいなくなったと同時に、借金取りが木の実の家に押しかけた。
命からがら家も仕事も捨てたと同時に、今度は白馬に乗った王子様が現れた。
白馬の王子様か…
今度は信用していいのかな…
そう思った途端、木の実は完全に目を覚まし急いで体を起こした。
今日は、確か土曜日で、私は遅番勤務で、お昼1時までには店に入らないといけない。
恐る恐る時計を見ると、もう11時だ。
木の実は猛ダッシュでシャワーを浴び、身支度を整えた。
「ジャスティン、おはよう……」
木の実は昨夜の記憶が半分抜け落ちている。
シャンパンを調子に乗って何杯も飲んだことは覚えているが、その先の記憶が曖昧だった。
「おはよう、具合はどう?」
木の実は恥ずかしくてジャスティンの顔をまともに見れない。
なんか変な事言ったりしたりしてないよね…?
「具合は全然大丈夫…
逆に久しぶりにゆっくり寝れてスッキリしてる…
あ~、ジャスティン…
私、昨日の夜、変な事してないよね?
もう、全然覚えてなくて、なんだか自分が怖い…」
ジャスティンは、窓から見える真っ青な空のような清々しい笑顔を浮かべている。
「あ、覚えてないんだ…」
そして、こんな時のジャスティンは、含みのある言葉で私をいじめる事がどうやら好きらしい。
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