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ジャスティンは木の実をモナンジュまで送り届けると、帰りも迎えに来ると約束した。
最初は木の実は困った顔をしてそれでもうんと頷いてくれた。
でも、すぐにジャスティンを真っ直ぐに見てこう言った。
「今日も私、不動産屋に行ってその後に物件を見せてもらう約束をしてるの。
ジャスティンが邪魔をしないって約束してくれるなら一緒に行ってもいいけど、この間みたいになるなら一人で行きたい」
ジャスティンは顔をしかめて、でも、にこやかに頷いた。
「分かった、約束する。
邪魔をしないように努力する」
木の実は子リスのように前歯を見せて笑顔で頷いた。
「じゃ、行ってきます」
ジャスティンは木の実が車から出た後も、しばらく車の中からモナンジュをずっと見ていた。
ただ、木の実が仕事に行っただけなのに凄く寂しい…
木の実を迎えに行くまでの間、何をして時間を潰そうか。
っていうか、今までの週末の過ごし方を、俺は忘れてしまったみたいだ。
木の実がいないだけで、週末の世界が灰色になった気がする。
俺はヤバい…
マジでいかれてる…
木の実は思っていたほど土曜日が忙しくない事に驚いていた。
実際、この界隈は週末より平日の方が人通りが多い。
思いのほか、暇なので少し嬉しかった。
「木の実ちゃん、水田さんから聞いたんだけど、家を探してるって?」
オーナーの奥様が思い出したように聞いてきた。
「あ、はい、そうなんです。
ワケあって前の家を急に出る事になっちゃって、今、必死に探してます」
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