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「浅居お前の携帯、鳴ってんぞ」
「え、あ」
ビジネスバックに忍ばせたビジネス用の携帯が鳴り響いていた。
私はスマホをテーブルに置き、ビジネスバックから携帯を取り出して、出た。
「もしもし、「スイセン生命」の浅居です」
相手は一般家庭の顧客からだった。
私は立ち上がって、そのままスタスタと静かなお手洗いに続く廊下に引っ込んだ。
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電話の内容は以前から入っていた保険の契約者名の変更の問い合わせ。
明日、伺うと返信して、テーブルに戻った。
「仕事の電話か?」
「まぁね」
私は携帯に気を取られ、自分のスマホをテーブルに置いたまま、席を外してしまった。
「・・・碓氷君…私のスマホ見てないよね・・・」
「・・・日南と合コンするのか?だから、今日はいつもと違うヒラヒラしたブラウスにスカートスーツだったのか・・・」
彼は無断で盗み見ていた。
「・・・人のスマホを覗くなんて・・・悪趣味もいい所ね・・・」
「勝手に見えたんだ。仕方ないだろ?大体、お前が悪いんだろ?浅居」
「人のせいにする?」
「それがお前の答えか?」
「えっ?」
「俺と別れて、新しい男を合コンで見つけるつもりなんだな・・・」
「私達、とっくに別れているでしょ?別れを切り出したのは碓氷君の方でしょ?」
「俺は・・・何も・・・」
ウェイトレスがオーダーしたランチメニューを運んできた。
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