第一章/四.機巧人形師

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「そうかもしれないわね。でも、もしも疑われたとしても、後でわたしが必ず弁明して、ふぶきの無実を訴えるから安心して。だから、ねえ、ふぶき。冒険の旅に一緒に来るか来ないか、今すぐ選びなさい」 「姫、本気なんですか?」 「もちろん本気よ。最初で最後の機会だもの。わたし、後悔や未練を残したまま結婚したくないの。お願い、ふぶき、協力して。ね?」  ゆめさきは、ふぶきの手を取って詰め寄った。ふぶきは口うるさいが押しに弱いことを、ゆめさきはよく知っている。一生懸命に頼み込んで断られたことは、今までに一度もない。  ふぶきは息苦しげに、ゆめさきのルビー色のまなざしから顔を背けた。 「……わかりました。お供します」 「やったぁ! ありがとう、ふぶき!」  ゆめさきは、ふぶきに飛び付こうとした。が、勢いの調整を誤った。今のゆめさきの複写の効果は、ふぶきの根ざしものから入れ替わり、きらぼしの根ざしものによって全身の力が増している。ゆめさきは、それをすっかり忘れていた。  猛烈な勢いでぶつかられ、ふぶきが豪快に吹っ飛んだ。受け身もろくに取れず、尻餅をついて痛みに呻く。 「姫、あなたという人は……」 「やだ、ごめんなさい。悪気はないの。本当よ」  青い目に涙を浮かべたふぶきに、キュイと、あらしが鳴いて鼻面をすり寄せた。もちづきが駆け寄って、ふぶきに手を貸した。     
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