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「俺も山口の事ずっと前から好きだった。セクハラって言われて、もう二度と山口の頭撫でるのも匂い嗅ぐのも出来ないのかって思って凄く落ち込んだし、今までずっと俺のせいで嫌な思いさせてたのかって反省して……笑顔見たら触りたくなるから、避けてた」
泣きそうな顔に私まで苦しくなる。
「ごめんなさい。セクハラなんて言わなきゃ良かったってずっと後悔してました。ナデナデとかクンクンとか、また前みたいにしてくれますか?」
「ん、する。いっぱいする。今まで以上にたくさんするし……それ以上の事も、したい」
刹那、重なった唇。
恥ずかしさに身を引いたけれどそれは許されず、更に強く押し付けられる。
割って入ってきた舌に更に肩が強張る。
漸く許され離れていく彼が勝ち誇ったように口角を上げた。
「それ、煽ってるって知ってたか?肩に力入れながら必死に我慢してるのに、健気に受け入れてくれるのが可愛くて堪んないんだって。更に恥ずかしい事したくなるから」
知ってわざとか。
ククッと笑って誤魔化す彼を照れながら睨んだ。
「さ、ラーメン食いに行こう」
繋がれた彼の手の温かさが心地良い。
「あ、その前にもう一回だけ」
再度近付いてきた顔に肩が竦む。
今度は触れるだけのキス。
「ほら、また煽ってるって」
ククッと笑う目尻の皺に、愛しさが一層増した。
了
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