46人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「じゃあさ、頭ナデナデはセクハラ?ほら、いつもしてるみたいな」
一歩前に出て手を伸ばす。
私の頭に長い指をふわりと乗せてそっと撫でる。
いつもは笑いながら冗談交じりに撫でるのに、そんな表情されたら、困る。
「……いえ」
としか、答えられないじゃない。
「だよなぁ。じゃあ、こうやってほっぺたつまむのは?」
髪を撫でた指の背が、そのままなぞるように降りてきて頬に触れる。
すっと一撫でされてから、ゆっくりと優しくつままれた。
痛くはないけど……。
だから、せめていつもみたいに冗談交じりにやってよ。
そんなに見詰められたら、流石にこれは……。
「……ひえ」
「何だよ、ひえって」
ククッと笑って目尻に皺が寄る。
いえ、とうまく言えないのが恥ずかしくて視線を逸らす。
「いつまでつまんでるんですか。いい加減離してください」
つまむその手を軽く払い、彼の顔を照れながら睨んでやる。
「いいじゃん、別に減るもんじゃないんだし」
イタズラっ子のように笑い、漸くいつもの彼に戻ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!