あまいパンケーキ

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わたしはカレと向かい合っていた。 カレは楽しそうに話すし、 楽しそうにわたしの話を聞いてくれている。 なのに、わたしは何が不満なんだろう。 わたしはカレのことが大好きで カレもわたしのことが少なからず好きだと思う。 なのに、わたしたちは恋人にはなれない。 その一歩を踏み出すことがまずわたしにできない。 わたしが一歩を踏み出すための答えをカレは出さない。 そんな名前のない関係。 カレとわたしの間に、パンケーキが運ばれた。 悩んだ結果、2人で1つを分けっこしようと一緒に決めたもの。 「デートっぽい! 」とわたしが喜ぶのを見て カレも微笑んでくれた。 2人でいただきますと言って食べ始める。 やっぱりデートっぽいなと思って思わず顔がほころぶ。 舞い上がった気持ちで聞くカレの話はより楽しくて 思わずパンケーキを食べる手も止まり、 時間が経つのも忘れてしまっていた。 ふとスマホを見て、時間を確認する。 そのしぐさをカレが見て 「そろそろ……行かないとですね」 夢から現実に引き戻される瞬間。 ふとお皿に目をやると、少し残されたパンケーキの上でクリームが溶けている。 生クリームとチョコレートが溶けて混ざり合う。 カレの気持ちとわたしの気持ちも このクリームのように溶けて混ざり合わせたい。 そのために必要なのは カレの気持ちと心構えなのか、わたしの行動力と心構えなのか わたしたちは溶けることも固めることもできずに、ただ流れている。
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