厭われた子

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クロウは開発できるものは開発し尽くしたせいで、暇を持て余していた。 ムラ無く敷かれた水色のマットに、小さな卓袱台ぐらいの大きさのテーブルに座布団、本棚といった落ち着いた空間で何もせずに過ごしていた。 テイは相変わらずテーブルに伏せて寝ている。 テイこそ、クロウが溺愛している大切な存在で可愛いものは可愛いいが、可愛いと常に思い続けているせいで可愛いのかどうかも分からなくなってきた。それ程、常に暇なテイと長い時間同じ空間にいたのだ。 テイ、一人では出来ることも少ないので、特定の範囲内で外出するよう言っている。その外出の中で特に楽しみなのが食事。 テイは食事だけには抜かりないようで、近くの料理屋に足しげく通う。 そこには何があるか、と言っても、この世界は人間が少ない、居るのは人より知性の劣る生命体だらけ。それ相手には落ち着かない。 硝子窓から見える夜景は、幾度も見てきたがこれほど落ち着くものはない。と思っている。 あらゆる隔離施設や露骨な建造物より、なんやかんやでこの場所が一番居心地がいい。 この世界に住み続ける上でクロウはテーマを立てている。 「隠居生活」 それは特定の相手以外、誰からも干渉されない空間に住んで、究極の隠居生活をするという。 しかし、当然ながらクロウが大胆に開拓をしたせいでもはや隠居どころではないが(笑)
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