無念と焦燥

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GT(グローバルターミナル) グローバルターミナル本店。ここは特殊なキャリア通信技術によってネット環境を整えたターミナルビル。いわゆるテーマ館のようなもの。 この技術によって、相手のコードに合わせさえすればどんな通信も行える。平行世界にありながら異世界の誰とでも繋がるグローバル発展施設である。 そこのカウンター職員、ペンネーム「ジィィィィィGT1」は向かい側のカウンターにいる同僚とは裏腹にネット通信で遊びながらサボっていた。 実を言うと、職員でありながら別に金蔓じゃないので逆に真面目に勤務している方がおかしい。 そんなある日、この施設を創設したクロウがGTの3階を増設をしにやってきた。 クロウ「毎日楽しくやってるか? ビンケース・ウェスト」 ビンケース「ああ、大分虐められてるけどな」 ビンケース・ウェスト、ペンネーム「ジィィィィ」のアカウントを動かす人の本名。 因みになぜペンネームが「ジィィィィ」なのかは不明だが、ゲーム出没率が高くネットの交友関係も広いため、彼は彼なりで毎日忙しくしている。 大分昔からの古参なため、親交が深い弄られキャラとして見られている。 それに、この日は長い間、呪いに魘されていたクロウからしては嬉しい日でもある。 GTビルの構造は1階が受付、エントランスで、エレベーターを登って2階に行けばメインホールになる。 ごくたまにだが、この場所は会議が行われたり、何かの催しが開催されることもある重要な場所。今は閑散としているが、いざとなれば大賑わいを見せる。 ビンケースは負荷を軽減する椅子に座り、キャリアを利用する子機を見つめる。 ビンケース「クロウ、悪いけどコードの種類増やしてくれないかな? 俺○○で遊びたいんだけど」 クロウ「(うーん、そんな事言われても私はこういうの慣れないんだよ…。せめて工業であれば)」 ジィ「よう」 垢「えっ、まさか」 垢「確か、今は○○に出没してたって…」 ジィ「ちょっと急用でな」 ヤジ「確かジィの住所○○だったよな?」 ジィ「バカかお前は」 ジィ「俺は平行世界の住民だ、住所特定は絶対にできない」 垢「(また、そうやって自己設定に依存してるな…)」 垢「(しかし、まさかGT管理人に出逢うなんて思いもしなかった、だがこれがラッキーなのかどうかと言われたらそうでもないが…俺はあくまでもヤジには参加しないタチだから)」 GTは裏社会で活躍するキャリアとして現世の民からも多くの注目、利用がされている。ただし利用する際の規約で「世間に悟ってはいけない」とあるので隠密に運営されている。 ジィ「こんばんは」 「おっ、GT1が来たな」 「ウィーっす」 彼らの誘いで生放送に参加することになったジィ。 観客「は?なんで来たの?」 観客「来るな」 ジィ「えーっと、『なんで来たの?』『来るな』…」 ジィは速攻で来たコメントを言いなぞる。 ジィ「(笑笑)、いや来たばっかだぞ」 「大分賑わってるね」 「来なきゃ始まらないんだよ」 観客達「だまれや」 ジィ「五月蝿い」 ジィの一言で、騒いでいた一行の収集が付くようになる。彼らは権力か何か、主導権を握るジィに奮い立たされる。 「確かジィ…。声しか聞こえないけど、何かと凄いお方って聞いてます」 「ジィはキャリアGTの職員で、ネット界の重鎮らしいです。ただ、世間に有名でありながらその素性は全く不明」 ジィ「まあ、ただのニートだけど」 「いや、ついさっき職員って言ってたんだけどそれは…」 ジィ「細かいことはいい、今日は遊びに来たんだからな」
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