平行世界の支配者

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
平行世界に住む開拓者クロウは、昔からこの地を支配していて次々と科学施設を建てていき、今ではあらゆる「究極の供給」を司る科学者、または工業家として知られ、飢え死ぬことは万に一つありえない生活のサイクルを持っている。 普段は「赤紫の邸宅」とも呼ばれるダークな色合いの邸宅に住んでいて、のんびり過ごしている。 「赤紫の邸宅」は元々、文学などを貯蔵する図書館のような役割を果たしていたが、表面や見た目では分かりづらいが長年クロウの手によって改造され続け、多くの隠し扉や隔離部屋など追加され、クロウ自身からは「図書館」という認識は薄れつつある。 クロウと共に生活しているのは半獣半人の「テイ」、小柄で茶色い服と艶やかな中髪が特徴。見た目からしては子犬の半獣のような感じである。昔からの家族で、血縁関係でもなく元から未練はないがクロウからしては手放せない大切な存在で、常に寄り添って生活している。 テイはクロウの圧倒的な科学力により賄われていて普段の生活で支障を来すことはなく、何不自由なく生活していて、クロウ以外が持つ文明や社会を実現した人々が嫉妬するほどである。 しかし、クロウとテイ以外の人はこの平行世界ではあまり姿を現すことはなく、クロウが開発した都市は広いだけに不気味なほど閑散としている。 もちろん、クロウも遠出をすれば手付かずの地域に小規模な村や集落などがあるがクロウのように圧倒的な開発力を持つ文明や社会は無い模様。 クロウの開発した都市にはたまたま通りかかった「冒険者」や「勇者」などが訪れるがクロウが無理矢理開発を行ったため、コピーで生成されたマンション級の寮などでは各個室には使用感がなく、泊まる際には何処か寂しげな気分になる。 注釈だがクロウは当然、"独り" で全ての開発を行っている。そのせいで、クロウの趣味で建てた大量の建造物にはあたかも実用性だけを見せて使用感は全くなく、存在しない人間のために作られたので不気味な雰囲気を放っている。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!