理想郷にはまだ遠い

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茜は培養槽から出されてからずっと裸だったのだ。 こんな姿を見られまいと、思い切って階段を駆け上がると。階段の上から突然さっきの青年(?)が現れ突き落とされて腕を掴まれる。 …… 茜「何で急にいなくなるんですか」 クロウ「それはお前が本当に生きたいか試すためだ」 茜は回りくどいクロウの対応に呆れ返る。最初から地上に出すように案内したり支度させたりできたはずなのに、彼は一体何を考えているのか。 クロウは、茜を最初から見守っていて地下施設内で自滅しないようにしていて、心なしか地上に転生させた人間第一号として大切にする思いはあったようだ。 そうして地上で自由の生活を手にした茜はクロウが用意した特定の住居で暮らすことになる。 その後も同様の方法で地下施設から転生した人々を呼び込む。 茜の住む家には転生した人が次第に増えていき、賑やかになってくる。今では4人の男女が同居している。 男女混合なのは人類繁栄のクロウの狙いなのかもしれないが、今のところ互いに肉体的関係や恋愛感情は確立されない模様。 どちらにせよ、この平行世界では歳をとらないので無限に時間がある。
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