第7章 鮭の産地は気をつけて

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 カウボーイの投げ縄よろしく、鈴をニセ者に向かって投げつけた。縄はニセ者にぐるぐると巻きついた。 「大物ゲットー!」  叫びながらミズキはニセ者にかけよると、ほどけないように縄の両端をつかんで引っ張った。  神のご加護なのか、鈴に魔法の力があったのか、はたまたミズキの悪運が強いのか。縄がいい感じに関節へかかったようで、偽者はコンクリートをぶち抜く力を完全に封じられてしまったようだ。縄を切ろうともがいているが、当分うまく行きそうにない。 「危険動物を捕獲したのはいい物の、どうすんのよ、これ」  なんだか自分そっくりの顔をじっくり見るのは気持ち悪いから、わざとニセ者から目をそらして毒づく。 「まさか、自分の手で殺さなきゃいけないとか言うんじゃないでしょうね」 『撃ち殺そう、弱い自分。君にもできる、そんな気分。永遠の恋人、二人はたぶん……』  ポケットの中でスマホが鳴り響いた。 「黙れ着メロ! 人の気も知らんで!」  あとで絶対設定を変えてやろうと心に誓いつつ、ミズキはポケットからスマホを取り出した。 「何!?」 「無事か、ミズキ!」 「出たな、役たたず。霧崎ね」 「なんだ、その炎も凍りそうな絶対零度の声は」 「ごめんごめん。役立たずじゃなくて足手まといだったわね。ネコに捕まるなんて人間としてどうかと思うわよ」     
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