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カウボーイの投げ縄よろしく、鈴をニセ者に向かって投げつけた。縄はニセ者にぐるぐると巻きついた。
「大物ゲットー!」
叫びながらミズキはニセ者にかけよると、ほどけないように縄の両端をつかんで引っ張った。
神のご加護なのか、鈴に魔法の力があったのか、はたまたミズキの悪運が強いのか。縄がいい感じに関節へかかったようで、偽者はコンクリートをぶち抜く力を完全に封じられてしまったようだ。縄を切ろうともがいているが、当分うまく行きそうにない。
「危険動物を捕獲したのはいい物の、どうすんのよ、これ」
なんだか自分そっくりの顔をじっくり見るのは気持ち悪いから、わざとニセ者から目をそらして毒づく。
「まさか、自分の手で殺さなきゃいけないとか言うんじゃないでしょうね」
『撃ち殺そう、弱い自分。君にもできる、そんな気分。永遠の恋人、二人はたぶん……』
ポケットの中でスマホが鳴り響いた。
「黙れ着メロ! 人の気も知らんで!」
あとで絶対設定を変えてやろうと心に誓いつつ、ミズキはポケットからスマホを取り出した。
「何!?」
「無事か、ミズキ!」
「出たな、役たたず。霧崎ね」
「なんだ、その炎も凍りそうな絶対零度の声は」
「ごめんごめん。役立たずじゃなくて足手まといだったわね。ネコに捕まるなんて人間としてどうかと思うわよ」
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