第7章 鮭の産地は気をつけて

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「なあ、そろそろ泣いていいか?」  走りながらしゃべっているのだろう、霧崎の声はぜいぜいしていて聞き取りにくい。 「気をつけろ! そこにニセミズキが……」 「ええ、いるわよ。スマキになってね」 「スマキ? まさかお前がやったのか」 「あたし以外にだれがいるのよ。あんたが捕まってるのに」 「お前、いい神話ハンターになれるぞ」  役に立てなかったのが気に入らないらしく、霧崎は少しすねているようだった。 「神話ハンターに? 大金積まれても嫌だわ」  そこで霧崎は少し黙り込んだ。そして、ゆっくりとためらいがちに口を開く。 「ユキは無事か?」 「もちろん。あたしのおかげでね」 「いまだにアバラが痛いがな」  ボソッとユキが突っ込んだ。 「ユキと代るわね」  ミズキはスマホをユキに差し出した。ユキはスマホを地面に置いて顔を近づける。 「霧崎。久しぶりだな」 「ユキ……」 「何でこんな事をしたのか、訊きたそうな声だな」  霧崎は黙り込んでいた。むこうからは雑踏と雑音が聞こえるばかり。 「すまない」  ようやくのことで霧崎はそれだけ言った。     
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