第7章 鮭の産地は気をつけて

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「ああ。子猫のとき、私に油性マジックで眉毛を書いたことも。薄い布で体をくるんで、解こうとしているところを大笑いしてた事も」 「……結構、根にもってるな」 「別に根になど持っていないぞ。しかし懐かしいな。お前は科学が苦手だったな。ベッドの下に一ケタ台のテストが山ほど……」 「へ~、ほ~、ふ~ん」  ミズキは霧崎の肩をポンポン叩いた。 「なるほど。それで非科学技術省なんかに入るハメになったのね」 「げ、ユキてめえ、スピーカーにしやがったな!」 「思い出すなあ、霧崎。おまえよくおねしょをして、兄にバカにされ……」 「殺せ、いっそ殺せ! なんだこの嫌がらせは! あれか、これがお前の復讐か!」  ずっと縛られていたニセミズキが、身じろぎしてカラカラと鈴を鳴らした。 「お、やばいやばい。霧崎、最後ぐらい役に立ちなさいよ。ニセ者が復活する前に早く来て」 「分かっている。急いでそっちにむかっているとこだ。それに、そうバカにするなよ。ユキ達がしゃべるようになった理由がわかったんだ。ドッペルゲンガーもどきについてもな。知恵の鮭だよ」 「知恵の鮭? なによその『受験生用にDHAを強化しました』みたいなものは」 「バカ! れっきとした神々の道具だよ。英雄フィンがボイン河のほとりで捕まえた……」     
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