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「ああ。子猫のとき、私に油性マジックで眉毛を書いたことも。薄い布で体をくるんで、解こうとしているところを大笑いしてた事も」
「……結構、根にもってるな」
「別に根になど持っていないぞ。しかし懐かしいな。お前は科学が苦手だったな。ベッドの下に一ケタ台のテストが山ほど……」
「へ~、ほ~、ふ~ん」
ミズキは霧崎の肩をポンポン叩いた。
「なるほど。それで非科学技術省なんかに入るハメになったのね」
「げ、ユキてめえ、スピーカーにしやがったな!」
「思い出すなあ、霧崎。おまえよくおねしょをして、兄にバカにされ……」
「殺せ、いっそ殺せ! なんだこの嫌がらせは! あれか、これがお前の復讐か!」
ずっと縛られていたニセミズキが、身じろぎしてカラカラと鈴を鳴らした。
「お、やばいやばい。霧崎、最後ぐらい役に立ちなさいよ。ニセ者が復活する前に早く来て」
「分かっている。急いでそっちにむかっているとこだ。それに、そうバカにするなよ。ユキ達がしゃべるようになった理由がわかったんだ。ドッペルゲンガーもどきについてもな。知恵の鮭だよ」
「知恵の鮭? なによその『受験生用にDHAを強化しました』みたいなものは」
「バカ! れっきとした神々の道具だよ。英雄フィンがボイン河のほとりで捕まえた……」
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