4番目の遺跡を探せ!

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「、、、3つ一致したのは偶然じゃないのかな?」マルセルがその場の熱気を一気に下げるようにつぶやいた。 「偶然だと?」フリードがマルセルを睨みつけたが、マルセルはそのまま続けた。 「古代エジプトの数学者は優れていました。まず、僕は4つの三角形がただの辺と角度がバラバラの三角形ではないと考えました。そこで、大元の資料から、もう一度4つの三角形の辺の長さを詳しく測定しました。すると、4つの三角形の合計12本の辺の長さが全て素数であることを発見しました。これは封印の言葉〈それらは分けることはできない〉とも一致します。」マルセルはそこで一息ついてから、また続けた。 「4つの三角形それぞれで、一番小さい値の素数を選ぶと、4つの素数が得られますが、そのうち2つの値が、すでに見つかっている3つの遺跡をA,B,Cの点とすると、AB間、BC間の距離と一致します。」 「、、、ということは、残る2つの値を使うと?」ラファエル教授が言葉を継いだ。 「そうです。A点とC点を中心として、半径に残りの2つの素数を使ってコンパスで円を描くと」マルセルはそこで息を吸い込んだ。 「2つの円はちょうど1つの接点で交わります。そこが4つ目の遺跡の場所です!」 「台形はどう使うんだ?」フリードが突っ込みを入れると、マルセルはウッと詰まったが、「台形には大きな意味はないんじゃないか?」と返した。  睨み合う二人をなだめつつラファエル教授は言った。 「まあ、二人の立てた仮説は、それぞれもっともだ。しかし、どちらももう1つの封印の言葉の〈そのものの内側は外側と同じである〉は取り入れてないようだが?」  その言葉にフリードとマルセルはう~んと腕組みして考え込み、ラファエル教授自身も考え込んでしまった。 「あのー、旦那方」3人は、いつの間にかテーブルを覗き込んでいた現地の案内人のアブデルという名の男に気がついた。 「こうして見るとフリード様とマルセル様が示した場所はそんなに離れていませんから、ここは資金もまだ潤沢とのことですし、二手に分かれて掘って行きませんか?」アブデルはニンマリとした笑顔で提案した。  「確かに、雨季も近づいているし、そうするか!ハハハハハハ」ラファエル教授はそう言って笑い、二人の青年もつられて笑いだし、とりあえず発掘プロジェクトは動き始めるようであった。
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