【2】真っ白な恋心

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「杉本さん……だよね?向こうで古賀が話あるって言ってたよ」 「……ええ?何だろう……。シロ、私ちょっと行ってくるね」 「う、うん……」  こうして、シロと二人きりになる事に成功した俺は、直ぐ様、彼女の隣の席に座り軽いお辞儀をした。 「はじめまして。神谷律です」 「……はじめまして。臼田紫帆です」  突然の事にぎくしゃくとする彼女が愛らしくて、にやけを抑えるのに必死だったのを覚えている。 「さっき、交流出来なかったからさ……。はい、これ俺のカード。臼田さんのも見せてよ」 「え、でも……もうその講習は終わったし……」 「いいから、いいから」  渋々ながらに差し出してくれたカードに目を落とすと、はっきりとして読みやすい、とても綺麗な字が並んでいた。  臼田紫帆、8月生まれの乙女座。趣味は映画鑑賞に読書等とベタ中のベタ……。 「……手相占いって本当かよ」  彼女の事をとにかく知りたいと集中し過ぎたのが仇となった。特技の項目でうっかり心の声を漏らしてしまった俺は、慌てて顔を上げた。
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