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その後、お風呂に入り、食事をして、やっとゆっくり出来るかと思ったら再び発情……。
「ふあっ……」
日付の変わった12時過ぎ。ルームウェアに着替えた神谷が、呑気にアクビする様子をにらみつけながら私は小さく吠えた。
「もおーー。バカミヤ!予定全部狂ったじゃんか」
「ええ……予定?何かあった?」
「本当はご飯食べてから実家行こうと思ってたのに。お姉ちゃん所……二人目出来たんだってさ。龍之介さんが一人ではしゃいでるから、相手しに来てやってくれって」
「うわあ……。予定狂って良かったー……」
ポロっと本音を溢す神谷を更に睨む。
「それだけじゃない。朝ご飯の買い物と、DVDだって借りに行きたかったのに」
「ははっ。何んだよ、それ。そんなのいつでも出来んじゃん」
「いつでも出来ないから言ってるの!こっちは……会えない間にいっぱいいっぱい一緒にしたい事リスト考えて……」
会える時間が限られているからこそ、特別じゃない、当たり前の日常を当たり前に過ごしてみたい。
『普通』が一番羨ましいと思ってしまうのはおかしい事かな。
「ごめん。怒るなよ……」
そう言って神谷は、ベッドに寄りかかっていた私を後ろから抱き締めた。
ふわりと香るのは、同じシャンプーの匂い。
「全部、明日やろ?な?」
「明日は実家帰らなきゃでしょ?お母さんも楽しみにしてるだろうし」
「ああ……じゃあ、それもリストに入れておいて。シロの誕生日も仕事が入って一緒にいられなかったしな……。明日は何でも言うこと聞くよ」
「本当……?」
「本当。だから機嫌直して下さい」
「そこまで言うなら……いいよ」
にんまり微笑んで頷きを返す。
本気で怒っていた訳じゃないけれど、わざわざ向こうから言い出してくれたんだもん……。
こんなチャンス使わない手はないよね。
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