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「っ……」
大人しそうな印象だったシロがムスッと表情を変えるなり、突然俺の左手首を掴まえて言った。
「やっぱり、KY線あるよ。神谷くん」
「げっ……それって、空気読めないやつ……だよな?」
「うん」
大きな瞳を細くして、彼女はこくりこくりと頷いた。
せっかく触れた手を離して欲しくはなかったから、俺は興味のある振りをして更に手の平を広げた。
「……他には?」
「ううんっとね……あ、金運は凄くいいよ。仕事運もバッチリ……。あ、モテ線もあるし……」
後れ毛を耳にかけ直しながら、俺の手の平に集中する彼女の横顔をずっと見詰めていた。
皮膚の上を絶妙な力加減でなぞる指先。
このシチュエーションエロくない?
友達相手なら平気で口にしていただろう言葉を飲み込んだのは、嫌われたくない、その一心での事だった。
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