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「あ……この小さなバッテンは、神秘十字っていうんだよ」
「神秘……十字?」
「うん。スピリチュアルな事に興味や才能を持つ人とも言われてるし、後はご先祖様とか、目には見えない誰かに守られている線」
「目には見えない、誰か……」
シロの言葉をただただオウム返しする俺は、たぶん彼女の目には間抜けに映っていただろう。
それでも、俺は嬉しかった。
15の時に、交通事故で死んだ父親が俺と母さんを影ながら見守ってくれている様な気は、前々からなんとなく感じていた。
ヤバい奴だと思われたくなくて誰にも言えなかったけれど、手相とシロはそんな俺を認めてくれるのかと思うと、物凄く嬉しかった。
「ねぇ、さっき杉本さんがシロって呼んでたけど……あれ、臼田さんのあだ名?」
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