【3】変わり始める二人の関係

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「こんな物で良かったの……?」 「十分だよ。すげえ美味い。あ、味噌汁お代わり」  神谷のご機嫌直しに必要だった物は、冷蔵庫の余り物で作った野菜炒めと、キンピラとトーフとワカメのお味噌汁、そして白米だった。  お味噌汁をよそい、もりもりと白米を掻き込む神谷の前に差し出す。  清々しい程の食べっぷりに、なんだか拍子抜けだ。 「美味しそうに食べてくれるね」 「人が作ってくれた飯は、何でも美味い」 「……そっか」  思春期の頃を片親で育てられたという神谷は、もしかしたら家庭の味っていうものに飢えているのかもしれない。  母性本能くすぐられるって、こういう事を言うのかな……。 「神谷って食べ物は何が一番好きなの?」 「和食」 「へえ……。あっ……。べ、別にまた作ってあげようなんて思ってないんだからね」 「いや、何にも言ってねえだろ」  食事を終え、洗い物を片付け終わった後、一息ついた私はふと気になった。  さも自宅の様にテレビを見てくつろいでいる彼が、一体いつ帰宅するのだろうかと。
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