【1】ライバルとの過ち

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 暗い部屋、滲む汗、熱っぽい吐息、衣服とシーツの擦れる音……。 『んっ……あぁっ……神、谷っ──』  彼を求めてはしたなく喘ぐ自らの声。  その全てが、悠々とほくそ笑むその男の前でフラッシュバックする。 「おい、顔赤いけど大丈夫かあ……?熱でもあんじゃねえの?」 「違っ……」 「ああ、そっか……。昨日の事……思い出しちゃってんだ……?」  ベッドの中での行為をわざわざ再演させる様に、男は私の耳元に、たっぷりと溜めの長い妖艶な囁きを落とした。  神谷律(かみやりつ)、28歳。  私は昨晩、不覚にも彼と寝てしまった。  私達は同期で、互いにそれぞれの上司を支えるライバル。  決して心を許してはいけない相手に、カラダを許してしまったら。  その先にあるのは……。
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