隣にいて欲しい

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 幼馴染とは何だろうか。本来ならば幼い頃に男女問わずに親しくしていた友達の事を言うのだが、現代では男女の幼い頃から親しくしていた友達の事に意味が変わっている。    ぼく、達耶(たつや)にもそんな幼馴染、和海(かずみ)がいる。家も隣同士でお互いの両親も家族ぐるみの付き合い、男女と性別の違いこそあれ常に一緒だった。 そんな生活が10年以上続いた頃、ぼくにも好きな人が出来た。幼馴染より可愛い女の子だ。 幼馴染は委員長みたいな外見をしており如何にもガリ勉の真面目なタイプで、本当に委員長になっている。悪いがぼくの好きなタイプではない。ぼくはもう少し派手目なタイプの女の子が好きだ。  ぼくは意を決してその女の子に告白してみた。近頃は小学生でもデートしたりなどの男女交際をしている時代なので問題無い。しかし、無碍もなく断られた。理由は意外なものだった。 「だって。委員長と付き合ってるんでしょ? 委員長も多分アンタのこと好きだと思うよ」 「ちげーよ、単なる幼馴染だよ!」 「だって、ずっと隣にいるじゃない。幼馴染でもベタベタしすぎだと思うよ」 「だから家が近いだけだって」 「あたし、人のものを盗るようなはしたない女の子じゃないから。ゴメンねっ!」 何だよ。人生で初めて勇気を振り絞ったのに幼馴染のせいで断られてしまった。確かに毎日一緒だけど幼馴染に対しては恋愛対象としては一度も見たことはない。ただ、家が隣同士なだけの友達なだけだ。
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