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その日の夜、ぼくはふと目を覚ました。額を触るだけでステーキが焼けそうなぐらいに熱かった頭の熱はすっかり引いていた。枕元には洗面器とタオルが置かれていた。母親がやったのだろうか、尋ねてみるととんでもない答えが返ってきた。
「和海ちゃんが学校終わってからずっと傍にいたのよ」
「はぁ? あいつ入れるなって言ったよね? どうして入れたの?」
「だって、毎朝起こしに来るんだしいいじゃない」
和海が来ることはこの家では常態化している。母親も和海をぼくの妹か何かの様に思っている節があった。
「ずっとアンタの頭の上にタオル乗せては取り替えてを繰り返すのよ。さすがにずっとやらせるのも悪いと思ったから帰ってもらったけど……」
何なんだよあのコブ女。多分ぼくの熱が冷めたのは和海がずっと冷やしていたくれたおかげだろう。
だが、こうして部屋に入っての献身的な態度に気持ち悪さを感じたぼくは和海に対して感謝をしなかった。
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