僕はガーディアン

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僕はガーディアン

 …――僕の名前は優太(ゆうた)。  家族のみんなは僕の事を『守り神』と呼んでいる。  すなわちガーディアン。  どうだ?  すごく格好いいだろう?  もちろん、守り神とは言っても町の外から来る魔物から町を守るそれではなく、ましてや魔王を倒す為に旅立ったりはしない。これは僕の妄想だけども、いつか魔物や魔王を倒してみたいとは思う。でも残念ながらも僕にそんな力はない。  むしろ『家族の陽だまりを守る』くらいしか、僕にはできないんだ。  そんな小さな僕だけど家族の絆を守っているんだ。  だから。  家族はみんな僕に感謝している。  絆のガーディアンである僕の存在はなくてはならないと考えている。  例えば、ウトウトと眠くなった長老夫婦の目を覚ましたり、宿題をサボってテレビばかり見そうになる弟、そして陽だまりの気持ちよさに動くのが億劫になった兄や父をいさめて再び宿題や仕事などに向かわせる為のきっかけになっているんだ。  でも確かに僕は絆を守るくらいしか出来る事はないんだけども……。  それでも僕は松本家の大事な大事なガーディアン。  先にも言って繰り返しになるけども僕に魔物や魔王を倒す力はない。  それでも。  お母さんが言う……。  魔の誘惑から家族の絆を守っているのは僕なんだ。  そんな魔の誘惑とも言える『冬の陽だまり』である『こたつ』に誘われて、みんなが集まり暖をとっているところに現れたお客さんが僕を見つめる。そしてニコニコと笑って破顔する。僕を優しく撫でてくれているお母さんの手元を見て。  のたまう。 「あら? 可愛い、チワワちゃんね」  僕に向かって可愛いってなんだッ?  チワワってなんだッ? 「そうよ、甘えん坊で仕方がないの」  お母さん? 「でもそこがいいのよね? 僕ちゃんはこたつが好きなのかな?」  と僕の頭を優しく撫でるお客さん。  僕はガーディアンだからチワワの意味は分からないけども、うん。これも悪くない。  ご褒美だ。  そして僕の、そして松本家の温かで平和な冬の一日が始まった。 【おちまい】
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