一粒の涙

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僕の名前は『勇星(ゆうせい)』、27歳の独身男でIT系企業に勤める平凡な会社員だ。 僕には結婚したいと思っている『華月(かつき)』という名前の女性がいる。 華月と僕は同じ年で、華月は自動車メーカで販売員をしている。 華月とは大学で知り合って、かれこれ8年の付き合いになる。 僕は華月にプロポーズしたいと思っているが、その前にどうしてもやりたいことがあって、プロポーズすることを躊躇している。 その理由は、僕はどうしても1度でいいから宇宙旅行をしたいと思っているからだ。 僕が小学生くらいの頃は、宇宙旅行は宇宙飛行士にしかできない特別なことだったが、今の時代は宇宙旅行を商品とする民間の旅行会社を使って僕のような普通の会社員でも宇宙旅行に行けるようになった。 しかし、気軽に宇宙旅行できるというわけではなく、それなりに旅行費用がかかり無事に帰ってくることができる保証があるわけではない。 宇宙旅行は比較的安全とはいえ、宇宙船の事故があったり、地球に帰ってきてから死亡したり、体に障害をかかえたりする場合もそれなりにある。 それでも僕は、今までの貯金を使って宇宙旅行をしたいと思っている。 宇宙旅行は、地球の周りを周回するコース、月に行って月面を探索するコースの2種類が用意されている。 月へ行きたいと思っている僕は、月への往復は約8日必要なため、夏休みとリフレッシュ休暇を使って会社を休んで宇宙旅行することを考えている。
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