一粒の涙

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華月と僕は、お互いに9月に会社を12連休にして月旅行に行くことにして旅行会社で月旅行の予約をした。 月旅行当日、華月と僕は待ち合わせをして、スペースポート(宇宙港)に行った。 そこには白くて大きなスペースシャトルのような宇宙船があり、僕と華月は女性の係員の方の指示で宇宙船に乗り込んだ。 宇宙船の中は意外に広くて、普通の飛行機に乗るような感覚で座席に座ってシートベルトをするだけだった。 華月と僕は隣同士の席で、これから始まる宇宙の旅に、お互いにわくわくしていた。 出発時刻になると宇宙船はゆっくり滑走路を移動し、所定の位置に到着したら機首が少しずつ持ち上げられて宇宙船全体が傾いていき、空に向かって90度になったところで止まった。 僕たちは、真上に向いているような感覚だ。 少しすると、宇宙船は上を向いたまま移動して、発射台の場所まで来ると補助ロケットエンジンが取り付けられたようだった。 発射の準備が整うと、宇宙船内で船長さんからの発射のアナウンスが流れてカウントダウンが始まった。 カウントが0になると、ものすごい轟音とともに宇宙船は宇宙に向かって打ち上げられた。 打ち上げは成功したようで、みるみるうちに地上が遠ざかっていった。 あっという間に大気圏外に出た宇宙船は、速度を落として地球の周りを遊覧しはじめた。 宇宙から見る地球は、青くてとても美しかった。 窓側に座っている華月はとても感動しているようで、今まで見たこともないような驚きの表情をしていた。 地球の周りの遊覧を終えると宇宙船は月に向かって進み始めた。 ここで、シートベルトを外して、宇宙船内を自由に動けるようになった。 月への到着までには約3日~4日かかるが、宇宙船内には一人ひとりのベッドルームがあって、華月と僕は隣同士の部屋になっている。 宇宙船内には、小さなレストランやカラオケができるリビングルームがあって、ここで過ごすことになる。 窓からは少しずつ小さくなる地球を見ることもできる。
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