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宇宙船は、月面に対して水平を保ったまま少しずつ高度を上げていき月を出発した。
華月と僕は、少しずつ遠ざかる月を眺めて楽しんだ。
いよいよ地球に帰ることになるわけだが、この旅で最も危険なことは大気圏突入である。
月を離れて3日間は、月に向かうときと同じように各自の部屋で睡眠をとったが、いよいよ大気圏突入となる日女性の係員の方から指示があった。
「大気圏突入は危険を伴うため、特別な部屋で過ごしていただきます。」
華月と僕は、仮眠室という部屋に案内された。
ここには、それぞれが入ることができる透明のカプセルが用意されていた。
「ここに入って仰向けに寝ていただきます。
少し寒く感じるかもしれませんが、お二人の体を凍らせて仮死状態にさせていただきます。
これは大気圏突入時に、心臓発作を起こさないようにするための対処です。
地球に戻ったら、お二人の体は元の状態に戻します。」
僕は華月に声をかけた。
「華月、地球で再会しようね!
楽しい夢を見て眠ってね!」
すると華月も、
「勇星もね!」
と笑顔で優しく声をかけてくれた。
華月と僕は、それぞれのカプセルに入って仰向けになった。
少し寒いと感じたのもつかの間、僕はいつの間にか深い眠りについてしまった。
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