墓石が乾かぬうちに

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「来なさい、マイキー」  ハワードはマットレスに横になり、ミラーを呼んだ。  ミラーは笑顔になってハワードへ近づくが、鎖が足りず、首をのけぞらせた。ハワードは彼に近寄りその隙間を埋めた。ミラーを両腕に閉じこめ、頭のてっぺんに口づけた。  ――お前は何をやっているんだ、ハワード。この男はお前の妻子の命を奪った殺人鬼だぞ。  自らを戒める声が響いたが、ハワードはミラーをなでる手を止めることができなかった。ハワードの右手はミラーの背を伝い、彼のすぼまりにたどり着く。  年老いたミラーは筋肉が落ち骨と皮が目立ち抱き心地は最悪だったが、紳士的な風貌の奥に秘められた感度は抜群だった。ハワードのものを受け入れるそこは赤く腫れあがっていた。  ミラーの年齢を考慮して、今日は指を挿入するだけにとどめた。ハワードはミラーの肩を抱きながら、右手の中指でアナルをうがつと、彼は快感を逃すようにハワードのシャツをつかんだ。彼の下肢を見ると、弱々しいものの確かに反応していた。 「パパ……っ」  ハワードはミラーの顔を見ないように強く抱きこみ、彼の精液が自分を汚すまで責め立てた。ミラーが射精してもハワードは彼を離すことができなかった。  ミラーの何がハワードを本気にさせるのか、ハワード自身にもわからない。 「苦しいよ」  胸に抱いたミラーがハワードをたしなめた。いつの間にか強い力で押さえつけていたらしい。「すまない」とだけわびて、ハワードは力をゆるめた。 「……パパはぼくを殺すの?」  ハワードのシャツをつかんだまま、ミラーは唐突に核心にせまる質問を浴びせた。その手は震えていた。今のミラーにとってハワードは安心できる存在であると同時に、反応次第では彼に危害を加える人間でもあった。ハワードは優しい声で言った。「殺さないよ」 「ぼくはいい子?」 「いい子だよ。とっても、いい子だ」  ハワードはミラーのまぶたに唇を落とし、彼の身体を清め始めた。ミラーはこの行為が終わることをひどく嫌った。 「やだ、パパ。やめないで」 「いい子はもう寝る時間だ」  ハワードはミラーの耳元でささやく。「おやすみ、マイケル」
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