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いくぶん言いにくそうに、けれどはっきりと悠一は言った。
やっぱりね、と思いながら私は悠一の顔を見つめた。
結局、「香織」にはフラれたってことなのだ。
プライドからか、それを直接明言する気はないようだけれど。
言ったも同然だったとしても、言わないことに意味があるのだろう。
こちらを見つめながらも、どこか落ち着きのない瞳に不安が見え隠れしている。
私は十分すぎるくらいに間をあけた。
ほんの少しでも長く、不安に苦しめばいいと思ったから。
そして不意に、私は悠一ににっこりと笑いかけた。
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