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悠一の背中側にまわり、様子をうかがう。
私はいもしない待ち合わせ相手を探すふりをしてきょろきょろした。
悠一と待ち合わせていた女の子は、淡いグレーのダッフルコートがよく似合った、比較的小柄でかわいらしい女の子だった。
(なるほどね……)
この子こそ、件の「香織」なんだな、と思う。
確証はないけれど、私の直感が告げていた。
ほら、名は体を表すなんて言うけれど、まさに「香織」って感じの子だし。
なんというか、可憐な香りを織り出していそうな感じがする。
自分でも何を考えているのかわからないけれど。
二言三言交わして歩き出した二人の後ろ姿を、私は静かに眺めた。
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