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「二人で会う」程度のことなら、私は浮気とは考えない。
でもさっきの光景にはまあまあの衝撃を受けた。
いや、光景にじゃなく──私自身の感情に、かな。
悠一は私に黙って他の子──それも「香織」と会っていたわけだけれど、それを直接見てしまったとは思えないくらい、私の気持ちは凪いでいた。
怒りとか苛立ちとか、悲しみとか嫉妬とか、おおよそ考えられる感情はみんな、どこか遠いところにあったのだ。
私はただ淡々と、見たままを受け入れてしまった。
世界が灰色にはならなかった。
むしろ、灰色になってしまったのは私の方なのかもしれない。
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