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(付き合うのかな……あの二人)
私は二人が歩いて行ったのとは逆の方向に向かって歩きながら思う。
あの「香織」という子に悠一を奪われる、というような感覚はなかった。
もちろんそれは正しくて、彼女が悠一を略奪するわけではなく、悠一が勝手に私を捨てただけ──…
無意識に足が速まる。
(でももし、二人が付き合うことになったとしたら?)
そう思ったらつい足が止まってしまった。
後ろを歩いていた人に軽く舌打ちされる。でも今はそんなこと気にする余裕がなかった。
(私が、邪魔者になる──…)
そう気づいた途端、私は自分の中に渦巻く何かに、全身を丸呑みにされてしまった。
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