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この間と同じ店で、悠一と待ち合わせた。
やってきた悠一は、わかりやすく上機嫌だった。
今まで香織と会っていたのかもしれないし、この後会うのかもしれない。
会ってはいないけれどうまくいっている、ということなのかも。
私はふっと一呼吸つくと、考えてきた言葉をそのまま口にした。
「──あのね、いろいろ考えたんだけど」
そう切り出すと、少し空気が引き締まった。ほんの少しだけれど。
「悠一と別れるのは辛いけど、でもやっぱり私は、悠一に幸せになってほしいと思ってる。だから私のことは気にしないで、ほんとに、この前言ってたみたいに、後悔しなくていいように……ね」
私は悠一の顔を見つめながら言葉を紡ぐ。そして、悠一が口を開く前に言い足した。
「だから……別れよう。それで、頑張ってね」
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