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(ほんと、ばかみたい……)
気づけばあの日と同じようなことを考えていた。でも今日は自分に対してだ。
あまりにもものわかりの良すぎる彼女、だっただろうか。
いや、今はもう「元」彼女だけれど。
(でも、ほかにどうすればよかったの……)
「別れたくない!」ってヒステリックに泣き喚くことだってできた。
でもそうしたら、悠一はうんざりした表情を隠しもしなかったと思う。
それで、とりあえずその場を収めるために「わかったよ」なんて言うのだ。腹の底では不満を煮えたぎらせているくせに。
そしていずれ、悠一の中では「俺には好きな奴がいたのに、こいつが別れたくないと言ったから諦めてやったんだ」という意識が育っていく。
恋人がいる状態で別の女に惹かれた自分のことは堂々と棚に上げて。
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