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(寒い。というか、もう冷たい)
冷え切った外気にさらされ続けた顔や手の皮膚が悲鳴を上げそうだった。
むしろキンキンに甲高い悲鳴を上げてくれたらいいのに、なんて思う。
泣き叫べなかった私の代わりに。
泣き叫べなかった私の、心の代わりに。
そう思うと無性に何かに感情をぶつけたくなった。
何かを蹴りつけるのでもいい。何かを投げつけるのでもいい。
とにかく、私の中から毒を出してしまいたかった。
悠一の前で張り付けた作り笑い、震えを隠して出した明るい声、そんなものと引き換えに、私の中には毒がたまっていったのだ。
その毒に、抑えた感情がふたをした。
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