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悠一からの連絡でスマホが震えたのは、あれから半月ほどたったある日のことだった。
その間悠一から連絡が来ることはなかったし、私から連絡することもなかった。
通知に表示された名前を見て、ついに来たか、と思う。
だんだんと、心臓が立てる不穏な音が大きくなっていった。
いつものカフェに行き店内をざっと見渡すと、もう来ていた悠一が気づいて合図してくれた。
私はカウンターでカフェラテを注文し、トレーに載せて悠一のいる席まで運ぶ。
「ごめんね、待った?」
カフェラテを置いてそう言うと、悠一はこちらを見上げて口をもごもごさせた。
「いや……」
私はコートを背もたれにかけて席に着く。
それを黙ってみていた悠一は、ふーっと長い息をついて話し始めた。
「あの、話したいことがあるって言ってたやつだけど……実はさ」
あからさまにではないものの、こちらの反応をうかがっているのが感じられる。
私は努めて穏やかな表情で聞いた。
「やっぱり俺、由佳と……なんていうか、より戻したいんだ」
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