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私は自分の顔にほんのりと笑みが浮かぶのを感じた。
ここまでの仕打ちを受けて、おとなしく黙っている私じゃない。
だってものをもらったら、お礼を添えてお返しするのが礼儀でしょ?
だから私は、悠一がしたのと全く同じことを、私が受けたのよりはるかに強烈なダメージを与える形で、悠一に返そうと思う。
でもそれは今じゃない。もっと先の話。
私が復縁という形で仕込んだ毒が、もっと浸透してからの話。
悠一が理解していようといまいと、私が悠一に許したことは、悠一も私に許さなければならない。それこそが、悠一への私からのお返しであり、一つの呪いなのだ。
だから悠一が本当に「俺には由佳しかいない」という状態になったとき、私の「お返し」は始まる。
そう、だから動き出すのは──まだ、今じゃない。
-END-
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