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駅が見えてきた。
冷たい空気に当たりながら歩いたせいか、頭は少し冷静さを取り戻した気がする。
(悠一のこと、まだ好きかな……?)
改めて考えようとするものの、思考にもやがかかったように、頭がうまく回らない。
付き合うようになってもう三年以上の年月が経ったのだ。
隣にいるのが当たり前になっていたと思う。
好きとか嫌いとかじゃなく、なんというか、悠一に対してはもっと穏やかな気持ちを抱いていた。
それでも、大切な恋人であることに変わりはなかったはずなのに。
ただ、悠一にとってはそうではなかったのかもしれない。
私はカツンカツンと無機質な靴音をたてながら、駅へと続く階段を下りた。
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