8人が本棚に入れています
本棚に追加
Candle
クリスマスイヴ、今年は夫が、三歳になる娘と一緒にパーティーの準備をすると提案してくれた。料理から部屋の飾り付けまで、全て夫と娘でするという。そういうわけで、パーティーの準備ができるまで、私は外出し、準備ができたら夫から連絡が来る手はずになっている。私は昼過ぎから繁華街のデパートを回り、夫と娘のクリスマスプレゼントを買う。街は鮮やかな装飾で彩られ、あちこちからクリスマス・ソングが聞こえてくる。街を歩く人々の顔は、どこか幸せに包まれているように感じられる。思わず私の顔にも笑顔が浮かぶ。
気が付くと、時刻はもう午後五時を過ぎている。辺りはずいぶん暗くなり、街の明かりが灯り始めている。午後四時を過ぎた辺りから、まだ連絡が来ないのかと、何度も携帯電話を確認しているが、一向に連絡が来る気配はない。そろそろ自宅に戻ろうかと思ったそのとき、ようやく携帯電話が鳴り出した。
「準備できた?」
通話ボタンを押した私は、夫に尋ねる。
「準備万端だよ。帰ってきていいよ」
「わかった。急いで帰るわ」
私はそう答えて電話を切ると、家路を急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!