博士との会話

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博士との会話

 日曜日の朝、田笠博士の研究所を訪れた春美は博士の様子がいつもとは少し違うことに気がついた。 「おはよう、田笠博士」 「やあおはよう、春美君」 「ねえ博士、どうしたの ? 目が赤いよ。目の下にくまもできてるし……」 「ああ、これか。いや、何でもないんじゃ」  博士は指で目の下をごしごしとこすった。 「依頼を受けてな。ある謎の解明に取り組んでおったのじゃが、ちょっと時間がかかってしまってな。昨夜は夜更かしをしてしまった。ほんのちょっとだけじゃがな」 「ふうん、それで謎は解けたんですか?」 「当たり前じゃ、わしが本気になれば解けない謎なんて無い」 「さすがね、博士。それはどんなものだったのかしら」  問いかける春美に田笠博士は椅子を勧めた。自分の肘掛け椅子を動かして彼女の前に向き直る。 「春美君は『隣の客はよく柿食う客だ』という成句(フレーズ)を知っているかな?」 「もちろん知ってます。早口ことばでしょ」 「ああ、一般にはそう思われている。だが、実はこの中にメッセージが隠されておってな。それを解明してほしいと言う依頼だったのじゃ」 「へえ……」 「春美君はこのフレーズがいつ頃作られたものだと思う?」     
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