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「キーンコーン、カーンコーン」
近所の中学校のチャイムが鳴る。懐かしい気分もつかの間。
「ままぁーいこーはやくー」
娘、陽咲が早く桜を見に行こうと急かしているのだ。こういう時に甘えながら急かすのがかわいい。そしてパパにそっくりだ。
「はぁい、いこうねーこうえんねー」
ぱぁぁと陽咲の顔に笑顔が咲いて嬉しくなる。
「ちゃくらー、ままー、ちゃくらー」
フラスコのビンに沈めた四月六日。あの日の桜は今年もあざやかで。
玄関を出で、わたしは、わらう。
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